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日々考えている事とか考えていない事とか。 各種ネタバレ取り揃えております。 人間人間3、刀語十二巻まで読了。
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バカノよりルーアさん(だけど誰かさん視点)


ラッドの恋人という女が居る。
それも相当大事にされているらしい、ならば狙い目には違いが無い。
しかしその女は流石にあのラッドの恋人だけあって泰然としたもので、殺す旨を伝えれば何故か頬を染め、申し訳無さそうに「ごめんなさい」と謝って来た。

「ごめん……って何だ」
「ラッドがいるから、駄目」

何の話だ。何故頬を染める。
色々と言いたい気持ちを押さえ込み、ナイフを構えなおした。
なるべくむごたらしく、愕然とするほど虫けらのように、殺す。
当然あの男は怒るだろう、だがそれでいい。
あの男の恐ろしさは、その根底にある冷静さにあるといっても過言ではないのだ。
それを乱せるなら、それでいい。

女の目には恐怖は映っていなかった。
ただ、困ったような顔があるだけである。

「私を殺したら、嬉しい?」
「……別に嬉しくはねえよ」

そう、とそれは残念そうに呟いて、女は立ち上がった。
そのまま此方に目も留めず、部屋から出ようとする。

「おい」
「私には、ラッドがいるの」
「お前はそのラッドの所為で殺されるんだよ!」

「ラッドの所為で殺されるなんて嫌」

さらりとした物言いに、凍りつく。

「ラッドに殺されたいの」

ねえラッド――と声がした瞬間、脳天を貫く衝撃。

「お前、人の、恋人を、誑かそう、なんて、いい、度胸、だな、コラ」

言葉の節々に浴びせられる痛み。

「浮気してないわよ」
「当たり前だ!」

まるで普通の恋人同士のような軽やかな笑い声が響き、それがこの世で聞いた最後の音だった。
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