日々考えている事とか考えていない事とか。
各種ネタバレ取り揃えております。
人間人間3、刀語十二巻まで読了。
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サンホラ、再びクロセカでアルヴァレス将軍と愉快な仲間達。
サンホラは一回書きたかったのである。
サンホラは一回書きたかったのである。
ばん、と意味もなくパーシファルは机を叩いた。
喧騒の渦巻く周囲、その原因はとうに知れているが、それでもなす術はない。
フランドルからの攻撃を受け、女王ローザを安全圏まで移す事になった。
それは賢明な判断ではあったのだ、しかし女王が未だ帰らぬ今、そんな事を言う暇はない。
どうやら女王はフランドルからの――しかもあの死神、アルヴァレスの軍と行き会ってしまったようである。
――運が無い。
連絡は何処からもなく、ただ女王の無事を祈るのみという境遇が恨めしい。
その時だった。
「パーシファル!」
まだ幼く瑞々しい、待ち望んでいた声が響く。
「――ローザ様!」
顔を上げ、その姿を確認し、一歩近寄ろうとしたところで、停止した。
一度放した槍を気付かれないように握り、少女の隣にいる男を睨みつける。
「……《ベルガの死神》……!」
この状況はどういう事だ。
何故あの男がこんな内部まで入り込めた。
ローザは捉えられたという事だろうか。しかし、ならばあの明るい表情は。
「違うわよ、パーシファル。もうアルベルジュじゃないの。アーベルジュ。《ベルガの同朋》って言うのよ」
「ローザ様……説明をした方がいいのではないですか」
「だから堅っ苦しい言い方は止めなさいよ? ――ああ、パーシファル、あのね」
アーベルジュは仲間になったから、とあっさり、若い女王はそんな事言った。
「なか……ま……?」
「ええ。命を救ってくれたのよ。いいじゃない」
この女王は何を言っているのだ。
疑問が顔に出たのか、女王は誇るように今までの経緯を説明する。
一番に思った事は罠だ、とそれだった。
理屈が通っていない。
聖戦で、指揮官が小娘を助ける事がまずありえない。異教徒は皆殺しが原則である。
そしてその助けた娘が、ブリタニアの女王という奇跡など。
聡明だが、まだ人間の暗黒部に片足しか踏み入れていない女王は騙されたに違いない。
ゆっくりと、気付かれない程度に槍を構えなおす。
「……矢張り私がいると迷惑のようだよ、ローザ」
その微弱な動きを見て取ったのか、男は苦笑する。
「パーシファル騎士団長。私は今丸腰だ。武器その他はここに入るまでに外されている。殺すのは容易だろう」
容易かもしれない。だが、傍らにいる女王を人質に取られては敵わないのだ。
「何を言うのよ、アーベルジュ。パーシファルもよしなさい」
その反応をしたのが何人目か数えるのも嫌だわ、と女王は溜息をつく。
兎角その男から離れるように言うと、仕方無さそうに女王はこちらに寄ってきた。
「ほら。これで大丈夫でしょう。信じなさい」
「信じる要素がありません」
女王が拗ねる気配があった。不味い、と思い仕方なく、再び男に向かい合う。
「悪いが、アルヴァレス将軍。暫くは――」
「わかっている。ただ私がここで間者の真似事をしても、フランドルに何の得もない」
「それでも油断は出来ない」
「勿論、好きにしてほしい。それと『将軍』は結構だ。私はもう将軍ではない」
その時男は何とも言えない笑みを浮かべた。
見ているこちらが泣きたくなるような、そんな笑みだった。
喧騒の渦巻く周囲、その原因はとうに知れているが、それでもなす術はない。
フランドルからの攻撃を受け、女王ローザを安全圏まで移す事になった。
それは賢明な判断ではあったのだ、しかし女王が未だ帰らぬ今、そんな事を言う暇はない。
どうやら女王はフランドルからの――しかもあの死神、アルヴァレスの軍と行き会ってしまったようである。
――運が無い。
連絡は何処からもなく、ただ女王の無事を祈るのみという境遇が恨めしい。
その時だった。
「パーシファル!」
まだ幼く瑞々しい、待ち望んでいた声が響く。
「――ローザ様!」
顔を上げ、その姿を確認し、一歩近寄ろうとしたところで、停止した。
一度放した槍を気付かれないように握り、少女の隣にいる男を睨みつける。
「……《ベルガの死神》……!」
この状況はどういう事だ。
何故あの男がこんな内部まで入り込めた。
ローザは捉えられたという事だろうか。しかし、ならばあの明るい表情は。
「違うわよ、パーシファル。もうアルベルジュじゃないの。アーベルジュ。《ベルガの同朋》って言うのよ」
「ローザ様……説明をした方がいいのではないですか」
「だから堅っ苦しい言い方は止めなさいよ? ――ああ、パーシファル、あのね」
アーベルジュは仲間になったから、とあっさり、若い女王はそんな事言った。
「なか……ま……?」
「ええ。命を救ってくれたのよ。いいじゃない」
この女王は何を言っているのだ。
疑問が顔に出たのか、女王は誇るように今までの経緯を説明する。
一番に思った事は罠だ、とそれだった。
理屈が通っていない。
聖戦で、指揮官が小娘を助ける事がまずありえない。異教徒は皆殺しが原則である。
そしてその助けた娘が、ブリタニアの女王という奇跡など。
聡明だが、まだ人間の暗黒部に片足しか踏み入れていない女王は騙されたに違いない。
ゆっくりと、気付かれない程度に槍を構えなおす。
「……矢張り私がいると迷惑のようだよ、ローザ」
その微弱な動きを見て取ったのか、男は苦笑する。
「パーシファル騎士団長。私は今丸腰だ。武器その他はここに入るまでに外されている。殺すのは容易だろう」
容易かもしれない。だが、傍らにいる女王を人質に取られては敵わないのだ。
「何を言うのよ、アーベルジュ。パーシファルもよしなさい」
その反応をしたのが何人目か数えるのも嫌だわ、と女王は溜息をつく。
兎角その男から離れるように言うと、仕方無さそうに女王はこちらに寄ってきた。
「ほら。これで大丈夫でしょう。信じなさい」
「信じる要素がありません」
女王が拗ねる気配があった。不味い、と思い仕方なく、再び男に向かい合う。
「悪いが、アルヴァレス将軍。暫くは――」
「わかっている。ただ私がここで間者の真似事をしても、フランドルに何の得もない」
「それでも油断は出来ない」
「勿論、好きにしてほしい。それと『将軍』は結構だ。私はもう将軍ではない」
その時男は何とも言えない笑みを浮かべた。
見ているこちらが泣きたくなるような、そんな笑みだった。
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