日々考えている事とか考えていない事とか。
各種ネタバレ取り揃えております。
人間人間3、刀語十二巻まで読了。
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「一緒にトウヒしよ?」
頭の悪そうな発音で、彼は僕をそう誘った。
「それ意味わかって言ってんの」
「あはは」
「笑って誤魔化すな」
「笑って誤魔化されるの、嫌い?」
「好きだよ」
泣いて誤魔化されるよりマシだという程度の好きだけれど。
だって、幸せだから。
「ねえ、で、お誘いには乗ってくれるの?」
「逃避って何処にさ」
「現実からだよ」
現実逃避の四文字は空しく世界を揺らす。
皆が捨てたがってでも捨てられずに死にそうになっている、現実から逃げようと馬鹿は言った。
よりにもよって、天才でも超人でもない、ただの馬鹿が言った。
「あんたってもしかしてただの馬鹿じゃなくて凄い馬鹿?」
「物凄い馬鹿。愚者って言うと格好いい感じ」
「そうだね」
「愚者愚者っていうとぐしゃぐしゃみたいで悲惨な感じ」
「そうだね」
「ねえ、逃げようよ」
甘い響きの声。
甘ったるい微笑み。
甘美な誘惑。
「逃げるのって格好悪くって情けなくってみっともないって思うけどさ」
甘すぎる。
「君の事は大好きだから、格好悪くて情けなくてみっともなくても、いいと思うよ」
「ああ、気持ち悪いね」
吐き気がするね。
まずは方法を示してごらん、話はそれからだというと。
そう言って君が乗ってこないことなんてなかったよね、と彼は笑った。
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