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日々考えている事とか考えていない事とか。 各種ネタバレ取り揃えております。 人間人間3、刀語十二巻まで読了。
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月影クラウンさんに捧ぐ(その2)蜜蟷裏

冬はつとめて。
遠い昔、誰かがそんな事を言ったらしい。
きっとその人は裕福な――例えば貴族のような家柄の人だったのだろう、と蜜蜂は思う。
 
それは自分が、冬の早朝をどうしても好きになれないから思う事ではある。
その理由は、人によれば一笑に付されてしまうような内容――ただ寒いから、とそれだけだった。
 
しかし。
 
貧困と寒気は、酷く馴染む。
攻め立てるような寒さを防ぐ術は――財無き者には、無いのだった。
 
「寒いなあ――」
 
小声で呟く蜜蜂は、嫌いな筈の早朝、既に目覚めている。
やはり肌寒いので、薄い布団にもぐりなおし、そこに眠る暖かさを起こさないように、そうっと抱きしめた。
 
冬の朝は嫌いだし。
寒いのも嫌いだけれど。
幸せだなあ、と思う。
 
腕の中にいる蟷螂は、普段、とても人の気配に敏感だ。
それはしのびとして当然の事で――しかし自分の傍で熟睡してくれる、その心の距離が酷く嬉しい。
 
「……やっぱり寒い」
 
何分裸なのだった。
置きだして服を着ようかとも思うが、この状況を崩すのも惜しい気がする。
ん、と腕の中で可愛らしく起き出す声がした。
 
しょうがない、と実はまだ半分寝ている頭で、蜜蜂は思う。
ぎゅ、と蟷螂を抱く手を強めた。
蟷螂が瞼をあげる気配がする。
 
「みつ……ばち……?」
「蟷螂さん――」
 
寒いです、とまるで幼子のような調子で訴える。
蟷螂は微笑ましそうに「そうか」と言うと、暖めるように蜜蜂の背中に手を伸ばし、抱きしめた。
 
そんな仕草が愛しい。
そう思って心で謝りつつ、蜜蜂は蟷螂に口付けた。
早朝には相応しくも無い、思い切り濃厚な接吻を。
 
「ふぁ……っ」
 
寝起きでろくに抵抗できない蟷螂の口内に、舌はいとも容易く侵入する。
音を鳴らすように口付けを続けると、蟷螂の体が熱くなっているのがわかった。
限界まで唇を合わせ、銀の糸を引きながら離す。
酸素を補給しようと、熱い息が吐き出された。
 
「蜜蜂――何を――」
 
今の行為ですっかり目が覚めたらしい蟷螂は、先ほどよりも明瞭な口調で蜜蜂に問う。
対する蜜蜂は、「だって」と。
 
「寒いです」
「――それはわかった」
「暖めてください」
 
子供のような口調だった。
頭の片隅で、こういえば蟷螂が断れないだろう事は知っている。
そしてその予想通り、言い返そうとして口を開いた蟷螂は――困惑したような顔をして、少し頬を染めてから、口をつぐむ。
 
「いいですよね?」
 
念を押すようにたずねれば、こくりと頷かれた。
お礼を言うように、扇情的に細められた瞳に口付ける。
 
それから再び深い接吻を唇に落としながら――右手で胸の突起を、左手で蟷螂自身を扱う。
三つの場所を同時に攻め立てられて、苦しげにしかめられる顔。
上気した頬が艶かしい。
こすり合わせるように優しくぶつかる体が、互いに熱を帯びてくるのがわかる。
 
「蟷螂さん?」
「あ……ぁ……っ」
 
自分だけあったまらないでください、と相変わらずすねたように。
潤んだ蟷螂の瞳に笑いかけた。
 
「みつ……ば……っ」
「寒いんです。……無理に咥えさせて欲しいんですか?」
 
困ったような顔が、一層加虐心を刺激する。
軽く頭を撫でると、蟷螂は一層頬を染めてから――四つんばいで口を開け、熱を帯びてきたそれを咥えこんだ。
 
「ん……っぐ……」
「――あは」
 
口内で、唾液が絡みつく。
上下に弄られる感覚で、自身が力を帯びるのがわかった。
何より、快楽に耐え切れずにがくがくと震える足が――興奮を誘う。
 
「やらしいですねえ――蟷螂さん」
 
足がくがくですよ、と嗤ってみる。
目を細めて羞恥を露にしながら、それでも必死に奉仕する姿は労しく――愛おしい。
 
「しょうがないなあ――」
 
蟷螂さんの淫乱。
それもまた子供のような調子だった。
 
咥えるのを止めさせ、背中から抱き寄せる。
軽く指で前座の代わりをし、それから一気に挿入した。
 
「っぐ……ぁ……っ!」
 
ろくに慣らしもしなかったからだろう、苦しげなうめきが聞こえる。
 
ああ、あったかい。
蜜蜂は耳元で、そう囁いた。
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