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日々考えている事とか考えていない事とか。 各種ネタバレ取り揃えております。 人間人間3、刀語十二巻まで読了。
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書いておきたい話が出来たので、書きます。
動物が死んだりした話が嫌いな方は見ないで。
というか見せるように書いてないので、不快になるかもしれません。



今日は習字の日。
つまらない、面倒だ、だけど嫌いじゃない、習字の日。
教室の前に猫がいた。
オレンジの三毛が一匹、灰色が一匹。
可愛い。
横目でみながらそう思った。

騒がしい教室。
嫌いじゃない、雰囲気。

僕のその気持ちをぶち壊すみたいに、ドアが開いた。
思いっきり音をたてて、ドアが開いて。

「せんせー、猫が、死んでる」

決して大きくはないその声に、
騒がしかった教室は一時水を打ったように静かになって。
それから以前にもまして、騒がしくなった。

「何処?」
「何で?」
「何時?」

5W1Hかよ、とか思ったり、して――
心臓の音を誤魔化すために、心で茶化す。

窓から外をのぞく。
相変わらず車の多い道路に、灰色の塊があった。

それは僕が、先程見たばかりの、子猫だった。
子猫だった、物だった。
物体。

震える。
震える体を、正座で誤魔化した。

そして、僕は世界を遮断して――
今日の課題だけ、思考した。


「終わっていいわよ」


先生がそう言ったとき、外は真っ暗。
猫はまだ、そこにいた。

扉を開けて、教室を出る。
茶色の猫が、まとわりついてきた。

今までにこの猫が、なついたことなんかないのに。


哀しいのだろうか。
あの灰色の猫とは、友達だったのだろうか。

踏まれ続ける灰色が、あんまりにも忍びなくて――
何よりも、好奇心から。

僕は道路にでて、その物体をそっと運んだ。
重たい。
まるで物みたいに運ぶのが、どうしようもなく嫌だった。

自転車の籠に積んで、家まで急ぐ。
血は既に渇いていた。

家に両親はまだいない。
妹だけがいた。

「スコップある? 何処ある?」
「何に使うの……猫、埋めるの?」

「埋めるよ」

「わたしも行く」
「行かなくていい」
「なんで?」
「ここに連れてきた」

妹は驚いた顔をして、それから黙ってスコップを持ってきた。

「懐中電灯、ある?」
「ないけど、探してみる」

妹に懐中電灯を任せて、電灯の下、改めてその死体を見た。
死体は冷たいというけれど、その肢体はやけに温かかった。

先程まで、生きていたのだ。
そう思った。

顔がないと思っていたら、顔の原型がないだけで。
確かに口はあった。目も合った。
ただ、目は化け猫のように――飛び出していた。

綺麗な死に様なんて、そこにはない。
物語みたいな綺麗な死は、ない。
眠るような死に顔なんて、ない。
葬式に見る死体があんなに安らかで綺麗なのは、死化粧を施してるからなのだ。
本物の死は、あまりにも、汚い。

後悔した。
興味本位で猫を連れてきたことが、恥ずかしかった。

「懐中電灯、あったよ」
「ありがと」

庭に穴を掘る。
力のない猫は、本当に物みたいだった。
灯を照らしてくれた妹は、黙って泣いていた。

* * *

「ねえ、母さん」
「何?」

「猫の死体を、庭に埋めたよ」

詳細を話すと、母さんは嫌な顔をした。
猫はたたるから、怨まれてはたまらないと、言った。
どうせなら公園に埋めてきなさいとも、言った。

死んだだけで祟るだの何だの言われる猫は、可哀相。
勝手な話、そう思う。

「だってあれが人間だったら、皆であれこれ騒ぐのに、猫だったら放置っておかしい」

そう言うと母さんは黙った。
しばらく黙ってから「父さんに聞きましょう」と言った。

父さんはまだ帰ってこない。
それだけが唯一の、希望だった。

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